新規オーステナイト系耐熱鋼の開発
-優れた高温強度と耐酸化特性の両立を目指して-
日本大震災以降,使用されている電力のほぼ9割が火力発電でまかなわれています。
一方,化石燃料を使用する火力発電は,他の発電手段に比べ,多くの二酸化炭素を排出します。
現状の電力供給を維持しつつ,二酸化炭素の排出を抑制して,低炭素社会を実現するためには,火力発電プラントの更なる高効率化が必要不可欠となります。
その鍵を握るのは「材料開発」であり,蒸気条件の高温・高圧化に耐えうる優れた耐熱金属材料の開発が重要になります。
当研究室が注目するのは,「使用環境における耐酸化特性」であり,優れた高温強度を発揮するように合金設計された新規耐熱金属材料を,使用環境で如何に長持ちさせるか?という点に着目した研究を行っています。
当研究室では,長年にわたり火力発電プラントのボイラー配管等に使用されている耐熱鋼の高温水蒸気酸化に関する研究を行ってきました。
耐熱鋼は,その表面に保護性酸化皮膜が形成するように合金設計されていますが,水蒸気を含む雰囲気では,保護性酸化皮膜が形成しにくくなることが知られています。
耐熱鋼をボイラーのような水蒸気含有雰囲気で安定に使用するためには,この現象のメカニズムを明らかにする必要があり,学問的にも工業的にもやり甲斐のある研究テーマになっています。 |